読みもの
簿記3級に受かった人が、2級で新しく学ぶのはどこか。出題区分表を論点で数えると「工業簿記7+商業簿記6」
簿記3級に受かって2級を目指す人が最初に知りたいのは、「3級の知識はどこまで使えて、どこから新しいのか」です。日本商工会議所の出題区分表は3級・2級・1級を同じ表の列で並べているので、論点ごとに読み比べると答えが出ます。本サイトの論点表で数えると、2級の1+6+13論点のうち、3級の深さでそのまま足りるのは1論点、3級で学んだがもう一段深くなるのが6論点、まったく新しいのが13論点でした。新しい13論点の内訳は、工業簿記が7、商業簿記が6です。
対照の仕方
資料は日本商工会議所の商工会議所簿記検定試験出題区分表「商業簿記・会計学」と「工業簿記・原価計算」(2021年12月10日最終改定・2022年4月1日施行・2026年度試験まで適用。取得日 2026-10-06)。区分表は項目ごとに「3級」「2級」「1級」の列があり、※印は「本来より上級の項目だが、その級でも簡易な内容を出題する」印です。本サイトでは項目を論点にまとめ、各級でどの深さまで出るかを 0(範囲外)/1(用語・考え方)/2(計算・処理)/3(応用・判断)で判定しました。判定は運営の判断で、各行に根拠の区分表の見出しを付けています。2027年度からは暫定版の区分表(2025年12月公表)に切り替わる予定なので、来年以降に受ける人は改定の有無を確認してください。
まったく新しい13論点
| 論点 | 対象での深さ | 手持ちの最大深さ | 対象シラバスの参照 |
|---|---|---|---|
| 企業結合・連結会計(合併・連結決算・のれん) | 2 | 0 | 商 第六 連結会計/商 第四 > 会社の合併※ |
| 原価概念と原価計算の種類・方法(費目別・部門別・製品別) | 3 | 0 | 工 第一〜五/工 第六〜十一(費目別・部門別・個別・総合原価計算) |
| 標準原価計算と原価差異分析 | 3 | 0 | 工 第十二〜十六 > 標準原価計算(パーシャル・プラン、シングル・プラン、差額の原因分析、会計処理) |
| 直接原価計算と全部原価計算 | 3 | 0 | 工 第十二〜十六 > 直接原価計算(意義と目的、方法と記帳、固定費調整) |
| CVP分析(損益分岐点・安全余裕率) | 2 | 0 | 工 第十二〜十六 > 原価・営業量・利益関係の分析(損益分岐図表、損益分岐分析の計算方法) |
| 利益計画(限界利益・貢献利益・プロダクト・ミックス) | 1 | 0 | 工 第十二〜十六 > 直接原価計算(意義と目的) |
| 予算・実績差異分析 | 2 | 0 | 工 第六〜十一 > 製造間接費計算(固定予算と変動予算、予定配賦、配賦差額の原因分析) |
| 資金調達の形態(直接・間接金融、自己・他人資本、企業間信用、リース) | 1 | 0 | 商 第二 > リース取引※(借手側) |
| デリバティブとリスク管理(オプション・先物・為替予約・スワップ) | 1 | 0 | 商 第二 > 外貨建取引※(為替予約の振当処理を含む) |
| 有価証券の会計処理(売買目的・満期保有・その他有価証券) | 3 | 0 | 商 第二 > 有価証券(売買目的・時価法)/投資その他の資産(満期保有目的債券、子会社株式※、その他有価証券※)/商 第三 > その他有価証券評価差額金※ |
| 収益認識(履行義務・契約資産・変動対価) | 2 | 0 | 商 第二 > 様々な財又はサービスの顧客への移転(履行義務、変動対価※ など)/契約資産・契約負債※ |
| 外貨建取引と換算 | 2 | 0 | 商 第二 > 外貨建取引※/商 第三 > 決算整理(外貨換算) |
| 本支店会計 | 2 | 0 | 商 第五 本支店会計 |
工業簿記(7論点)
3級は商業簿記だけなので、工業簿記・原価計算はすべて新しい範囲です。区分表の「工 第一〜五」(原価の意義・要素、原価計算の種類、工業簿記の構造、材料費計算)から「工 第十二〜十六」(標準原価計算、CVP分析、直接原価計算、製品の受払い)まで、費目別→部門別→製品別の計算を通しでやります。予算・実績差異分析は製造間接費の固定予算・変動予算と配賦差額の原因分析として、利益計画は直接原価計算の意義として出ます。2級の学習時間の半分近くはここです。
商業簿記(6論点)
- 有価証券の会計処理: 売買目的(時価法)・満期保有目的債券(償却原価法)・子会社株式・その他有価証券※と評価差額金。3級には有価証券の項目がありません。
- 収益認識: 履行義務・契約資産と契約負債※・変動対価※。3級の「商品の売買」の先にある考え方です。
- 外貨建取引と換算: 為替予約の振当処理を含む。
- 企業結合・連結会計: 会社の合併※と、資本連結・のれん・未実現利益の消去(棚卸資産・土地)・連結精算表。
- 本支店会計: 本支店間取引と決算手続。
- リース・為替予約の処理(資金調達の形態・デリバティブの行): 2級では借手側のリース取引※と為替予約の振当処理が加わります。
3級で学んだが、2級ではもう一段深くなる6論点
| 論点 | 対象での深さ | 手持ちの最大深さ | 対象シラバスの参照 |
|---|---|---|---|
| 損益計算書・貸借対照表の構造と区分表示 | 3 | 2 | 商 第三 > 損益計算書と貸借対照表の作成(報告式)※/財務諸表の区分表示 |
| 税務会計(益金・損金・課税所得・税効果) | 2 | 1 | 商 第二 > 税金(課税所得の算定方法)/税効果会計※ |
| 配当・剰余金の処分(配当政策と会計処理) | 2 | 1 | 商 第四 > 準備金積立額の算定、剰余金の処分※、株主資本の計数の変動※ |
| 固定資産の会計(取得・減価償却の方法・除却・圧縮記帳・無形固定資産) | 3 | 2 | 商 第二 > 有形固定資産(割賦購入、圧縮記帳※、除却・廃棄、建設仮勘定、定率法・生産高比例法)/無形固定資産(のれん、ソフトウェア※) |
| 引当金(貸倒・退職給付・賞与など) | 3 | 2 | 商 第二 > 引当金(商品保証・退職給付※・修繕・賞与) |
| 純資産の会計(資本金・剰余金・株主資本等変動計算書) | 3 | 2 | 商 第四 > 資本剰余金/任意積立金/商 第三 > 株主資本等変動計算書※ |
- 損益計算書・貸借対照表: 3級は勘定式、2級は報告式※と区分表示。
- 固定資産: 3級は定額法・間接法。2級で定率法・生産高比例法、割賦購入、圧縮記帳※、除却・廃棄、建設仮勘定、のれん・ソフトウェア※が加わります。
- 引当金: 3級は貸倒引当金(実績法)。2級で商品保証・退職給付※・修繕・賞与の各引当金。
- 純資産: 3級は資本金と利益剰余金。2級で資本剰余金、任意積立金、準備金積立額の算定、株主資本等変動計算書※。
- 税金: 3級は法人税等※・消費税の処理。2級で課税所得の算定方法と税効果会計※。
- 剰余金の配当: 3級は配当の仕訳※。2級で準備金積立額の算定・剰余金の処分※・株主資本の計数の変動※。
3級の深さでそのまま足りる1論点
| 論点 | 対象での深さ | 手持ちの最大深さ | 対象シラバスの参照 |
|---|---|---|---|
| 簿記一巡(仕訳・帳簿・試算表・精算表・決算整理・財務諸表の作成) | 3 | 3 | 商 第三 決算(2級で加わるもの) |
簿記一巡(仕訳→帳簿→試算表→精算表→決算整理→財務諸表)は3級で通しで学んでおり、2級でも同じ手続きの上に論点が積み上がります。ただし2級の決算整理には、棚卸減耗・評価替・各種引当金・有価証券の評価替・繰延税金・外貨換算・製造業の決算処理が加わるので(区分表「商 第三」)、「手続きは同じ、処理する項目が増える」と読むのが正確です。
学ぶ順番の提案
- 商業簿記の「一段深くなる6論点」から: 3級の知識の延長なので最初に。固定資産→引当金→純資産→税金→報告式の財務諸表の順。
- 商業簿記の新しい6論点: 有価証券→収益認識→外貨建→本支店→連結。連結は量が多いので最後に。
- 工業簿記は独立して並行: 費目別→部門別→個別・総合原価計算→標準原価計算→直接原価計算・CVP。商業簿記との前後関係はほぼ無いので、同じ週に両方を少しずつでも構いません。
この順番は本サイトの差分ツール(簿記3級 → 2級)の「学ぶ順番(残りだけ)」と同じ規則で、目安時間は深さの差×2時間の仮置きです(無料・登録不要)。
試験の形式(公式の値)
| 試験 | 時間・配点・受験料 | 直近の日程 | 出典(取得日) |
|---|---|---|---|
| 日商簿記 2級 | 90分・100点・5,500円(税込) | 統一試験 第174回 2026年11月15日(日)、第175回 2027年2月28日(日)。ネット試験は通年(2026年11月9日〜18日、2027年2月22日〜3月3日は施行休止) | 2026年度試験日程カレンダー(日本商工会議所)(2026-10-06) |
| 日商簿記 3級 | 60分・100点・3,300円(税込) | 同上 | 同上 |
受験者数の参考: ネット試験(2025年4月〜2026年3月)は2級 141,072人・3級 276,477人(日本商工会議所 受験者データ、取得日 2026-10-06)。
出典
- 日本商工会議所「商工会議所簿記検定試験出題区分表」商業簿記・会計学 PDF/工業簿記・原価計算 PDF/一覧 kentei.ne.jp/bookkeeping/exam-list(いずれも取得日 2026-10-06)
- 対照表のデータは本サイトの差分ツールと同一(論点48×資格5)。
本文の作成にAIを使い、運営が公式資料と照合しています。数値は本文中の出典(取得日つき)の値のみを使い、過去問・市販教材は転載していません。